セラピストと仲良くなりたい、その気持ちの行き場について
指名を重ねていると、ある時期から施術の質より「会話が弾んだかどうか」の方が満足度を左右するようになる。自分がそうだった。3回目くらいまでは技術とルックスで店を選んでいたのに、4回目以降は「その人と話したいから」通うようになっていた。これは別に特殊なことじゃなくて、月1〜2回のペースで通っている層なら似たような感覚を持っている人は多いと思う。
問題は、この感情をどう扱うかで通い方の満足度がまるで変わってくることだ。
まず前提として、メンエスは接客業で、セラピストにとって指名客は「大事にするお客さん」であって「彼氏候補」ではない。これは意地悪でもなんでもなく、単純に商売の構造がそうなっているというだけの話だ。LINEを交換できた、連絡先を渡された、というのは多くの場合「リピートしてもらうための接客の一部」に含まれる。もちろん中には本当に相性がよくて個人的な関係に発展するケースもゼロではないけれど、体感で言えば100人に1人あるかないかで、期待値として持つには分が悪すぎる。
自分の周りで痛い目を見た人のパターンはだいたい共通している。連絡先を交換した直後から頻度を上げて、金額もどんどん張るようになって、店外で会える日を心待ちにして、結局は「移籍しました」「LINE変えました」の一言で終わる。これで通うこと自体が嫌になって業界から離れた知り合いが2人いる。恋愛感情そのものが悪いんじゃなくて、その感情の出口を全部ひとりのセラピストに向けてしまうのが良くない。
自分がやっているのは、この感情を「あの人にときめいた」で終わらせずに、次の行動につなげる区別をすることだ。指名は指名で楽しむ。ただしそこで発生した「誰かと話したい」「好意を向けたい」という気持ちの余りは、店の外で処理する。恋愛は恋愛、接客は接客と割り切るというより、感情の置き場所を複数持っておくというイメージに近い。
具体的には、月の予算を決めて指名分とそれ以外の分を最初から分けている。仮に月5万円をこの手の楽しみに使うなら、3万円を指名、残り2万円をマッチングアプリや出会い系サービスに回す、みたいな配分だ。指名だけに全額突っ込むと、その関係が終わった瞬間に何も残らない。分散しておけば、店を移籍されても、指名が途切れても、自分の生活が壊れない。
マッチングアプリや出会い系サービスに苦手意識を持つ人も多いと思うが、メンエスの指名とは全く違う種類の体験になる。メンエスは決まった時間・決まった料金の中で完結する関係で、相手も接客のプロだから会話も施術もある程度予測できる。一方でマッチングアプリの相手は素人なので、返信が来るまでのやり取り自体に緊張感があるし、実際に会うまでの過程そのものが暇つぶしにも慰めにもなる。指名で満たされない部分を埋める先として、性質が違うからこそ相性がいいと思っている。
もうひとつ大事なのは、指名先のセラピストへの態度も変わることだ。恋愛的な期待を全部そこに乗せていないので、店外に誘うような強引な連絡もしなくなるし、単純に「また会いたいから予約する」という健全な距離感を保てる。セラピスト側からしても、過度に重い期待をぶつけてこない客の方が長く指名してもらえる。実際、自分が3年以上指名を続けているセラピストが2人いるが、どちらも連絡先の交換すらしていない。店の中だけの関係を割り切って続けているから、逆に長続きしているんだと思う。
好きになった相手が接客業の人だった、という状況自体は誰にでも起こり得る。それ自体を否定するつもりはない。ただ、その気持ちの全部をひとつの指名関係に賭けるのはリスクが高すぎる。感情の出口をいくつか用意しておく方が、結果的にメンエス通いそのものも長く健全に続けられる、というのが自分の持論だ。